ワタナベだらけ

近頃「ワタナベ」という名字の人が増えているような気がしてならない。

渡辺、渡邊、渡邉、渡部、、、

 

漢字は違うけどみんな「ワタナベ」

 

僕の場合は「渡部」だけど「ワタ」ではなく「ワタナベ」なわけで、

読み方次第ではさらに同名の人が増えてしまう。

漢字だけではどっちかわからないから

初対面の人から「ワタ、、べ」さん

と呼ばれてしまったり、、、

なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

もう、、

面倒極まりない。

 

僕は四十を過ぎてもアルバイトで生計を立てているのだけど

アルバイト先には十中八九「ワタナベさん」はすでに在籍していて、

自己紹介の際、

気まずい思いをしてしまう。

同じ名字だからといって「え!?僕もワタナベなんですーっ!!」

と盛り上がることはまずないし、

結局自分は後から入った「ワタナベ」であり

二番煎じ、、というわけではないけど

同じ職場の人からも「またワタナベかよ」と面倒くさがられ

当事者であるワタナベ同士も互いに恐縮しあい、

しかし後から入った若輩者のワタナベである僕は

さらなる恐縮返しをせざるをえない。

そんな折、読み方を間違われ「ワタさん」と呼ばれたりすると

もう否定する気にもならない。

言われるがままに「ワタ」のまま、、

潔く、その職場では「ワタ」でい続けよう!!

と、覚悟を決める。

 

習い事に行ってもそうだし、バイトでも仕事でも合コンでも、、、※1

あと、現在通っているムエタイジムには4人も「ワタナベ」がいる。

渡辺が一人と渡邊が一人、そして、、

自分を含め、渡部が二人。

 

一つのリングに4人の「ワタナベ」

 

ジムの会長からは「今から4人でスパーリングして勝った人だけがワタナベね」、「負けたらワタナベって名乗っちゃダメね」と、からかわれたりする。(賭け事が好きでプライドが高いタイ人は、同じ名前の場合、ムエタイの試合で選手同士が名前を賭けたりたりするらしい)

 

勝ったら「ワタナベ」負けたら「ワタベ」

そんな争いをするくらいなら僕は、

 

「ワタベ」でいい

 

兎にも角にも、

僕の周りは「ワタナベ」だらけ。

 

似た者同士はうまくいく。なんて言葉もあるけれど、

名字が同じで気まずくなることはあるが、うまくいくことは、、、

 

もう言うまでもない。

 

あっちもワタナベ。こっちもワタナベ。

ワタナベわたなべワタナベわたなべワタナベわたなべ、、

 

いつも配達に来るヤマト運輸の人も

デニー末広町店の店員さんもヨドバシカメラ千葉店の店員さんも

会ったことないけどAppleケアサポートのお兄さんも

イーピン企画の雄作さんも制作のナベちゃんも、

 

みーんな「ワタナベ」

どこに行っても

自分ではない「ワタナベ」と出くわしてしまう。

 

つい先日も皮膚科の待合で「ワタナベさんどうぞー」と呼ばれ

「あ、はい」と返事をして立ち上がろうとしたら

雑誌を読んでいた若い女性も同時に立ち上がり、

僕を一瞥し「え、何この人?!」と言いたげな面持ちで

不快感をあらわに診察室へ入って行った。

そして、受付嬢も苦笑い。

僕は「順番を待たずに割り込もうとした空気の読めない中年男」になってしまった。

 

顔が見えていればまだマシで

顔の見えない  電話  では相手に先に「ワタナベ」を名乗られると

「ヤバイ、先を越された」と尻込みしてしまう。

後から名乗ろうものなら「すみません、私もワタナベなんです、、、」

とただただ恐縮してしまう。 

 

何故、恐縮してしまうんだ、、

 

 

 

この不毛な名乗り合いはいつまで続くのか

 

ムエタイの試合で名前を賭けたりすることのない

平和で穏やかな日々は来ないのか

 

 

 

争いのない日々を・・・

 

 

 

 

(※1、合コンは嘘です。ノリで書きました)